障害者雇用を支える国の制度と、品川区の心強いサポートについて

こんにちは。「品川区民とつくる未来」代表の、新井さとこです。

先日、障害のある方が働くパン屋さんでの心温まるエピソードをご紹介しました。あの記事を読んでくださった方から、「自分の会社でも障害のある方を雇用できるのだろうか?」というお声をいただきました。

「働きたい」という意欲のある方がいる一方で、「どうやって雇用したらいいか分からない」と悩む企業がいる。この二つの思いを繋ぐために、私たちの国や地域にはどのような仕組みがあるのでしょうか。

今回は、すべての企業に関わる国の制度と、特に私たち品川区で利用できる手厚いサポート体制について、少し詳しくお伝えしたいと思います。

知っていますか?すべての企業に課せられた「約束」

実は、「障害者雇用促進法」という法律によって、一定規模以上の企業は、障害のある方を決められた割合以上、雇用することが義務付けられています。これを「法定雇用率制度」と言います。

  • 対象となる企業: 従業員を40人以上雇用しているすべての民間企業です。
  • 守るべき割合(法定雇用率): 現在は2.5%。つまり、従業員が100人の会社なら2〜3人、40人の会社なら1人の障害者を雇用する義務があります。(この率は段階的に引き上げられます)

これは、一部の特別な企業だけに課せられたものではありません。「社会全体で、障害のある方の働く機会を支えていこう」という、国からの大切なメッセージなのです。もちろん、この義務を果たせない場合は、納付金(ペナルティ)が課されるなど、厳しい側面もあります。

「義務」を「力」に変える、品川区とハローワークの伴走サポート

「法律で決まっているのは分かったけど、何から始めたらいいの…?」

そう思われる経営者や人事担当者の方も多いはずです。でも、ご安心ください。ここ品川区には、企業が一人で悩まなくて済むよう、実に心強いサポート体制が整っています。

1. 身近な相談役「障がい者就労支援センター げんき品川」

まず覚えていただきたいのが、この「げんき品川」です。ここは、障害者雇用に関するあらゆる相談に乗ってくれる、まさに地域の”駆け込み寺”のような存在です。

  • 企業へのサポート:
  • 「どんな仕事をお願いできるだろう?」という業務の切り出し相談
  • 採用に向けた求人の出し方のアドバイス
  • 採用後の定着支援(専門のスタッフが定期的に職場を訪問し、本人と企業の双方をサポート)
  • 障害のある方へのサポート:
  • 働くためのトレーニングや、就職活動の支援
  • 就職後の悩み相談など

企業と働く人の間に立って、きめ細やかにサポートしてくれるので、「初めてで不安」という企業も安心して一歩を踏み出すことができます。

2. 採用のプロ「ハローワーク品川」

皆さまおなじみのハローワークにも、障害者専門の相談窓口が設置されています。

  • 専門職員によるマッチング: 障害の特性を理解した専門の職員が、企業の求人と働きたい方の希望を丁寧にすり合わせ、最適なマッチングを行ってくれます。
  • 各種助成金の案内: 障害者を雇用する際に利用できる、様々な助成金(トライアル雇用助成金など)の申請窓口にもなっています。

一人ひとりが輝ける社会へ

法律による「義務」という言葉は、少し堅苦しく聞こえるかもしれません。しかし、その根底にあるのは、「誰もが社会の一員として、その人らしく輝ける場所を作ろう」という温かい願いです。

そして、その願いを絵に描いた餅に終わらせないために、品川区には「げんき品川」や「ハローワーク」といった、企業と働く人に寄り添い、具体的な一歩を力強く後押ししてくれるプロフェッショナルたちがいます。

もし、あなたの会社で「障害者雇用」というテーマが少しでも頭をよぎったなら、ぜひ一度、これらの窓口に相談してみてください。「うちには無理かも」という不安が、「うちだからこそできることがある!」という確信に変わる、素晴らしい出会いが待っているはずです。

品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ

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