品川区の「学校給食」。オーガニックで何か起きているのか

皆さん、こんにちは。

政治団体「品川区民とつくる未来」の新井さとこです。

品川区の学校給食で有機食材(オーガニック)を導入する取り組みは、多くの注目を集める一方で、区政に対して問題点の指摘や厳しい意見も実際に届いているようです。

主に混乱や課題として挙げられているのは、「財源(コスト)」「安定供給(ロジスティクス)」「公平性」の3つの側面です。本記事ではこの観点から記事を書いていきたいと思います。


財源(コスト)の問題

最も大きな課題として指摘されているのが費用面です。

  • 高額な予算: 有機食材は慣行栽培の食材に比べて価格が高いため、給食全体のコストが大幅に増加します。品川区は令和5年度の補正予算で、有機米の導入経費などとして約3億8700万円を計上しており、この多額の税金を投入することについて、「他の政策に使うべきではないか」「持続可能なのか」といった財源に関する厳しい意見が区議会などでも出ています。
  • 費用対効果への疑問: 給食を有機化することの健康への効果が、投じる費用に見合っているのかという疑問の声もあります。

安定供給(ロジスティクス)の課題

区内約60校、およそ2万6000食分の給食で使う有機食材を、一年を通して安定的に確保することは非常に困難です。

  • 調達の難しさ: 有機JAS認証を持つ農産物は、国内の全生産量の1%にも満たないのが現状です。特に野菜や果物は天候に収穫量が大きく左右されるため、必要量を継続的に確保するサプライチェーンの構築が大きな課題となっています。
  • 特定の産地への依存: 品川区は新潟県のJA魚沼など、特定の産地と協定を結んで有機米を確保していますが、特定の地域に依存することは、不作などの際のリスクが伴います。

公平性の観点からの意見

給食の恩恵が受けられる範囲が限定的であることへの指摘もあります。

  • 対象範囲: この取り組みは、区立の小中学校・義務教育学校が対象です。そのため、区内に住んでいても私立の学校に通う児童・生徒や、食物アレルギーで給食を食べられない児童・生徒は直接的な恩恵を受けられません。「税金を使うのであれば、より公平であるべきだ」という意見です。
  • 保育園などへの拡大: 当初、保育園の給食は対象外であったため、「なぜ義務教育だけなのか」といった声が上がり、その後、対象を拡大する方針が示されました。

「オーガニック」の範囲をめぐる混乱

「オーガニック給食」という言葉から、すべての食材が有機であると誤解されることによる混乱も一部で見られます。

現状は、まず主食であるお米から有機米に切り替え、野菜なども順次拡大していくという段階的な導入です。しかし、言葉が先行することで「思ったより有機食材の割合が少ない」と感じる保護者もいるようです。

まとめ

品川区のオーガニック給食は、食の安全や環境配慮の観点から先進的な取り組みとして評価される一方、高額なコスト、食材の安定確保の難しさ、そして税金の使い道としての公平性といった現実的な課題に直面しており、区政には様々な立場からの意見や批判が寄せられているのが現状のようです。

区民とつくる未来 代表 新井さとこ

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