皆さん、こんにちは。
「品川区民とつくる未来」の新井さとこです。
考えただけで胸が締め付けられるような、でも絶対に知っておかなければいけないお話です。
もし、子どもが保育園にいる日中、あの緊急地震速報が鳴り響き、立っていられないほどの大きな揺れが襲ってきたら…。
多くの保護者の方が、パニックになりながらも、ただ一つのことを考えるはずです。
「今すぐ、子どもの元へ行かなければ!」
その気持ち、痛いほどよく分かります。私もきっと、同じことを考えると思います。
でも、その時。私たち親が取るべき「最も正しく、安全な行動」は、実はその真逆なのかもしれません。
今回は、万が一の時に子どもと自分の命を守るため、品川区が定めるルールと専門家の意見をもとに、親が取るべき行動についてまとめました。
大原則:すぐに保育園へ駆けつけないでください!
まず、最も大切な大原則をお伝えします。
それは、発災直後に、慌てて保育園へ向かわないということです。
「どうして!?」「子どもが心配なのに!」と思いますよね。
しかし、これには明確で重要な理由があります。
- 親自身の安全確保が最優先
屋外は、割れたガラスや看板の落下、ブロック塀の倒壊など、危険で満ちあふれています。まずはあなた自身の安全を確保することが、結果的に子どもを守ることに繋がります。あなたが大怪我をしてしまっては、お子さんを迎えに行くことすらできません。 - 保育園は地域で最も安全な場所の一つ
区立・私立を問わず、保育園の建物は厳しい耐震基準で建てられています。そして先生方は、定期的に避難訓練を行い、子どもたちを守るためのプロです。園には、数日分の水や食料、簡易トイレなどの備蓄もされています。慌てて危険な屋外へ連れ出すよりも、安全が確認された園内に留まる方が、子どもにとっては遥かに安全なのです。 - 緊急車両の通行の妨げになる
多くの人が一斉に移動を始めると、道がふさがり、本当に救助を必要としている人の元へ、消防車や救急車がたどり着けなくなってしまいます。
では、親はどうすればいいの?【3つのステップ】
ステップ①:まず、自分の安全を確保する
職場や自宅など、今いる場所で、机の下に隠れるなどして身の安全を第一に考えてください。揺れが収まっても、落ち着いて周囲の状況を確認しましょう。
ステップ②:保育園・行政からの連絡を待つ
自己判断で動き出すのではなく、まずは公式な情報を待ちます。
保育園からは、事前に登録した緊急連絡メールなどで、園の状況や子どもの安否、そして「引き渡しの準備が整った」という連絡が来るはずです。
また、品川区の公式ウェブサイトや**公式SNS(Xなど)**でも、地域全体の被害状況や避難に関する情報が発信されます。
ステップ③:「引き渡し」のルールに従う
保育園では、子どもの安全を確実に守るため、厳格な**「引き渡しルール」**を定めています。
園の安全、そして園までの道のりの安全が確認できて初めて、「引き渡しを開始します」という連絡が入ります。連絡を受けたら、事前に登録した「引き渡しカード」などを持参し、指定された方法で子どもを迎えに行きます。
原則として、事前に登録された保護者以外には引き渡されません。
今からできる「3つの準備」
いざという時に冷静に行動できるよう、今からできる準備をしておきましょう。
- 園の「引き渡しルール」を再確認する
入園のしおりなどに書かれている、園独自のルール(引き渡しカードの有無、連絡方法など)を、改めて家族全員で確認しておきましょう。 - 複数の「お迎え担当」を決めておく
もしもの時、誰がお迎えに行くのか。第一候補、第二候補と、複数人(祖父母や信頼できる友人など)で話し合い、その情報を園にも伝えておきましょう。 - 連絡手段を確保しておく
園の緊急連絡メールに、父・母両方のアドレスを登録しておく。品川区の防災アプリをダウンロードしておく。災害用伝言ダイヤル「171」の使い方を家族で確認しておくなど、通信が途絶えた場合の連絡手段を準備しておきましょう。
最後に
災害時に子どもと離れている不安は、計り知れません。
しかし、「すぐに駆けつけたい」という親の愛情が、かえって親子を危険に晒してしまう可能性があることを、心に留めておく必要があります。
「子どもたちは、園で先生方にしっかり守られている」
そう信じて、まずは自分の安全を確保し、冷静に正しい情報を待つ。これが基本の行動となります。
もちろん、この記事に書いたことが、あらゆる状況で100%の正解だと言い切ることはできません。災害の規模や、その時のご自身の状況、そして何よりお子さんの園からの具体的な指示によって、最善の判断は変わってくると思います。
ただ、こうした**「原則」**を知っておくことが、いざという時にパニックにならず、より冷静な判断をするための大きな助けになるはずです。
日頃の備えと、冷静な判断が、私たちと、そして大切な子どもの命を守ります。
この記事が、皆さんのご家庭の防災会議のきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ
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