こんにちは。「品川区民とつくる未来」代表の、新井さとこです。
区内を歩いていると、地域の方々に見守られながら穏やかに過ごす猫たちの姿に、心が和むことがあります。その一方で、過酷な環境で生きる猫たちを思い、胸が痛むことも少なくありません。近年、「保護猫」という言葉を耳にする機会が増え、動物たちの命に関心を寄せる方が増えていることを、大変嬉しく感じています。
そこで今回は、私たちのまち品川区の保護猫活動の現状について、活動を支える方々の取り組みや直面している課題、そして行政の支援はどのようになっているのか、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
区内の保護猫活動を担う、ボランティアの皆さんの奮闘
品川区には、区が運営する大規模な「保護猫施設」という形ではありませんが、献身的なNPO法人やボランティア団体の皆さんが、行き場のない猫たちを救うために日々活動しています。
その中心的な存在が「NPO法人しながわ地域猫の会」などの団体です。彼らの活動は多岐にわたります。
- TNR活動: 飼い主のいない猫を捕獲し(Trap)、不妊・去勢手術を行い(Neuter)、元の場所に戻す(Return)活動です。これにより、望まれない子猫が生まれるのを防ぎ、一代限りの命を地域で優しく見守ることができます。
- 保護と譲渡会の開催: 病気やケガをしていたり、まだ小さい子猫など、外での生活が困難な猫たちを保護し、ケアをしています。そして、新しい家族を見つけるための「譲渡会」を定期的に開催し、多くの命を幸せにつないでいます。
- 地域への啓発活動: 猫に関する問題は、一部の人だけでは解決できません。地域住民の方々に「地域猫活動」への理解を深めてもらうための地道な広報・啓発活動も大切な役割です。
これらの活動はすべて、ボランティアの方々の「小さな命を救いたい」という純粋で温かい気持ちによって支えられています。
活動の裏にある深刻な「課題」
しかし、その温かい気持ちだけでは乗り越えられない、厳しい現実もあります。ボランティアの方々とお話しする中で、共通したいくつかの課題が見えてきました。
- 資金の問題: 保護した猫の医療費、手術費、日々のフード代など、活動には絶えず費用がかかります。その多くは、団体の自己資金や個人の寄付によって賄われており、常に資金難という課題に直面しています。
- 人手不足と高齢化: 猫のお世話は、清掃や給餌、通院など、毎日休みなく続きます。しかし、活動を担うボランティアは慢性的に不足しており、特に若い世代の参加者が少ないため、メンバーの高齢化も深刻な問題となっています。
- 終わりなき保護依頼: 「子猫が生まれてしまった」「親猫が育児放棄した」といった相談は後を絶ちません。一つの命を救っても、また次の命が助けを求めている。この現実に、ボランティアの方々は心身ともに疲弊してしまうことも少なくないのです。
行政(品川区)の支援と、これからの役割
こうした現状に対し、品川区としても手をこまねいているわけではありません。現在、以下のような支援を行っています。
- 飼い主のいない猫への不妊・去勢手術費用の助成: 区民の方が飼い主のいない猫に手術を受けさせる際、費用の一部を助成する制度です。これは、TNR活動を直接的に後押しする重要な支援です。
- 「人と地域猫が共に生きていける環境づくり事業」: 町会・自治会単位、または個人のグループで行う地域猫活動に対して、手術費用のほか、エサ代や消耗品費、医療費なども助成する、より踏み込んだ支援制度も始まっています。
- ボランティア団体との連携: 区の広報誌やウェブサイトで譲渡会の情報を掲載するなど、ボランティア団体の活動を後押ししています。
これらの支援は、間違いなく活動の助けとなっています。しかし、先ほど述べたような現場の課題をすべて解決するには、まだ十分とは言えないかもしれません。より柔軟な活動支援のあり方や、区民への更なる啓発活動など、行政としてできることはまだまだあるはずです。
私たち一人ひとりが、今日からできること
この問題は、行政や一部のボランティアさんだけが頑張れば解決するものではありません。私たち区民一人ひとりの少しずつの行動が、大きな力になります。
- 譲渡会に足を運んでみる: まずは、どんな猫たちがいるのか、どんな方々が活動しているのかを知ることから始めてみませんか。
- 寄付や支援物資で応援する: 少額の寄付や、フード・猫砂といった物品での支援も、団体にとっては大きな助けとなります。
- 情報をシェアする: SNSなどで保護猫や譲渡会の情報を広めることも、立派な支援の一つです。
- 責任ある飼い主になる: 猫を飼う際は、必ず最後まで愛情と責任を持つこと。そして、不妊・去勢手術を徹底することが、不幸な命を増やさないための最も重要な一歩です。
品川区が、人と動物が幸せに共生できる、もっと優しい街になるように。私も「品川区民とつくる未来」の代表として、現場の皆さんの声を聴き、それを行政に届け、必要な支援が実現するよう取り組んでいけたらと考えております。
皆さんのご理解とご協力が、区内の小さな命を未来へつなぐ大きな希望となります。
品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ
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