こんにちは。「品川区民とつくる未来」代表の、新井さとこです。
実家の母と久しぶりに会ったとき、以前より歩くスピードがゆっくりになっていることに気づき、胸がざわついたことがあります。「フレイル」という言葉をご存知でしょうか。加齢に伴って体力や気力、食欲などが低下し、心身が虚弱になっていく状態のことです。品川区では、このフレイルを予防するための様々な取り組みが行われています。今回は、その内容についてお伝えします。
フレイル予防とは何か
フレイルは、健康な状態と要介護状態の中間に位置するとされています。適切な対策を取れば、再び健康な状態に近づくことができる可逆性があるのが特徴です。だからこそ、早めに気づき、予防に取り組むことが重要だとされています。品川区では、栄養、口腔機能、身体活動、社会参加という複数の side から、フレイル予防にアプローチしています。
「通いの場」という地域の取り組み
品川区には「通いの場(地域介護予防活動)」という仕組みがあります。5人以上のグループで、半数以上が概ね60歳以上であり、原則として半数以上が区内在住・在勤の方で構成される、自主的に運営されているグループが対象で、月1回以上、介護予防や健康づくりを目的とした活動を行うことが条件です。地域の公民館や集会所などで、体操や趣味の活動を通じて、高齢者同士が定期的に顔を合わせる場になっています。
こうした「通いの場」の価値は、運動そのものだけでなく、人と会って話す機会を保つことにもあります。社会とのつながりが薄れることも、フレイルの大きな要因の一つとされているからです。
ポイント制度とデジタルの活用
品川区には「地域貢献ポイント事業」という仕組みもあり、区が指定するボランティア活動に参加すると、1回につき1ポイントが付与されます(年間上限50ポイント)。高齢者の社会参加を後押しする、ユニークな取り組みだと感じています。
さらに令和7年度からは、スマートフォンアプリ「チャレンジしながわ」が導入され、ウォーキングの習慣化を後押ししています。以前、シニア向けのスマホ相談についてこのブログで取り上げましたが、こうした介護予防の分野でも、デジタル活用が広がりつつあることを感じます。
母を見ていて感じたこと
実家の母は幸い、地域の体操教室に通い始めてから、以前より表情が明るくなったように感じます。「今日は誰々さんと話したのよ」と、楽しそうに報告してくれる母を見て、こうした「通いの場」が、単なる運動の場を超えた役割を果たしていることを実感しています。
残る課題
- 「通いの場」の存在自体が、対象となる高齢者に十分知られていないこと
- 外出が難しい高齢者に対する、訪問型のフレイル予防支援が限られていること
- アプリを活用したデジタル施策が、機器に不慣れな高齢者には届きにくいこと
- 担い手となる運営スタッフの高齢化が、他の地域活動と同様に進んでいること
栄養面からのアプローチ
フレイル予防には、運動だけでなく、栄養面からのアプローチも欠かせません。高齢になると食が細くなりがちで、たんぱく質不足が筋力低下につながることもあります。地域の通いの場で、栄養に関する講座や、簡単に作れる高栄養レシピの紹介なども行われており、こうした多角的なアプローチが、フレイル予防の効果を高めていると感じています。
他の自治体の取り組みに学ぶ
他の自治体では、医療機関や薬局と連携し、通院のタイミングでフレイルチェックを行う仕組みを導入しているところもあります。品川区としても、日常生活の様々な接点を活用しながら、フレイルの兆候に早めに気づける仕組みづくりが求められていると感じています。
わたしからの提案
- 「通いの場」の存在を、地域の医療機関や薬局を通じても周知すること
- 外出が難しい高齢者向けの訪問型フレイル予防支援を拡充すること
- デジタルとアナログ、両方の手段でフレイル予防の情報を届けること
区民から寄せられた声
「通いの場に興味はあるけれど、知り合いがいなくて一歩が踏み出せない」「男性は特に参加しにくい雰囲気がある」。フレイル予防の活動について、参加へのハードルを感じている高齢者の声も多く聞かれます。
男性高齢者の参加率という課題
一般的に、地域の介護予防活動は女性の参加率が高く、男性の参加率が低い傾向にあると言われています。囲碁や将棋、園芸など、男性が参加しやすいテーマを取り入れた「通いの場」を増やすことも、参加率を底上げする工夫の一つだと感じています。
フレイル予防と医療費抑制の関係
フレイル予防は、個人の健康寿命を延ばすだけでなく、将来的な介護費用や医療費の抑制にもつながるとされています。区の財政運営という観点からも、フレイル予防への投資は、長期的に見れば合理的な政策だと言えます。
わたしからの提案
「通いの場」の情報を、町会の回覧板や医療機関の待合室など、複数の接点で発信すること。男性高齢者が参加しやすいプログラムを充実させること。そして、外出が難しい高齢者向けに、訪問型のフレイルチェックや簡易な運動指導を提供する仕組みを整えることを提案したいと思います。
予防は特別なことではない
フレイル予防と聞くと、何か特別な運動やトレーニングが必要だと思われがちですが、実際には、近所を散歩する、誰かと話す、しっかり食事をとるといった、ごく日常的な行動の積み重ねが基本になります。難しく考えすぎず、まずは一歩を踏み出すことが大切です。
介護予防の効果を実感してもらうために
フレイル予防の効果は、すぐには目に見えにくいものです。だからこそ、定期的な体力測定や健康チェックを通じて、「通い始めてから、こんなに変わった」という実感を本人に持ってもらうことが、継続への大きなモチベーションになります。数値で見える化する工夫を、もっと取り入れてほしいと感じています。
おわりに
誰もが元気に年を重ねられるまちを、これからも一緒につくっていきたいと思います。
孤立を防ぐという視点
フレイルの背景には、身体的な衰えだけでなく、社会的な孤立が大きく関わっていると言われています。配偶者との死別や、退職による人間関係の変化などをきっかけに、外出の機会が減り、心身の衰えが進んでしまうケースは少なくありません。「通いの場」が果たす役割は、運動の場であると同時に、孤立を防ぐ居場所としての価値も大きいのだと感じています。
元気なシニアが増えるまちへ
フレイル予防は、個人の努力だけでなく、地域全体で支える仕組みがあってこそ効果を発揮します。これからも、この地味だけれど大切なテーマに光を当て続けていきたいと思います。
地域全体で支える仕組みへ
フレイル予防は、高齢者本人の努力だけでなく、家族や地域、行政が一体となって支えるべきテーマです。子ども世代が親の変化に気づき、地域の通いの場につなげてあげること。そんな世代を超えた気配りの連鎖が、まち全体の健康を底上げしていくのだと感じています。
おわりに
誰もが元気に年を重ねられるまちを、これからも一緒につくっていきたいと思います。
いただいたご意見をお待ちしています
フレイル予防や介護予防の取り組みについて、ご家族の体験やご意見があれば、ぜひお聞かせください。現場の声を大切にしながら、活動を続けていきたいと思います。
長く元気に暮らせるまちへ
フレイル予防は、一人ひとりの生活の質だけでなく、まち全体の活力にもつながるテーマです。高齢者が元気に外出し、地域で活躍し続けられる品川区を、これからも目指していきたいと思います。
誰もが安心して年を重ねられる品川区を、これからも一緒につくっていきたいと思います。
予防という投資
フレイル予防への投資は、将来の介護・医療費の抑制にもつながる、賢い先行投資だと考えています。目先の効果が見えにくいテーマだからこそ、粘り強く発信を続けていく必要があると感じています。
まとめとして
フレイル予防は、特別な誰かのためのものではなく、いずれ誰もが向き合うテーマです。今は元気な方も、いつか誰かの支えが必要になる日が来るかもしれません。だからこそ、地域全体で支え合う仕組みを、今のうちから育てていきたいと思います。
誰もが元気に年を重ねられるまちを、皆様と一緒につくっていきます。
認知症予防との関係
フレイルは身体機能の衰えだけでなく、認知機能の低下とも深く関わっているとされています。「通いの場」での人との交流や、頭を使う活動は、認知症予防の観点からも効果が期待されています。身体と心、両方の健康を同時に支える場として、こうした地域活動の価値を、もっと多くの方に知ってもらいたいと思います。
フレイル予防と口腔ケアの関係
フレイル予防では、口腔機能の維持も重要な要素とされています。噛む力や飲み込む力が衰えると、食事の量や種類が制限され、栄養状態の悪化につながります。品川区の歯科医師会と連携した口腔機能チェックの機会を増やすことも、フレイル予防の充実につながると感じています。
身体と心、両方の健康を支える地域活動として、通いの場の価値をこれからも広く伝えていきたいと思います。
今日、実家の家族に電話をして、体調や近況を聞いてみることから始めてみませんか。
一人の母として
誰もが安心して年を重ねられるまちであってほしい。フレイル予防という、地味に見えて実はとても大切なテーマに、これからも光を当てていきたいと思います。
品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ
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