こんにちは。「品川区民とつくる未来」代表の、新井さとこです。
娘を出産した直後、体はボロボロなのに、赤ちゃんのお世話は待ったなし。夜中に何度も起きて授乳をし、気づけば自分の食事も睡眠も後回しになっている。そんな日々の中で、「助けて」と言葉にすることすら難しいほど、追い詰められた気持ちになったことを覚えています。品川区には、そんな産後の母親を支える「産後ケア事業」があります。今回は、この制度についてお伝えします。
産後ケア事業の3つのかたち
品川区の産後ケア事業は、区内に住民登録のある母親と、生後1年未満の赤ちゃんを対象に、宿泊型・デイサービス型・訪問型の3種類のサービスを提供しています。宿泊型は区が指定する施設で、産後の母体管理や生活面の指導を受けられるもので、利用日終了時点で産後5か月未満の母子が対象です。デイサービス型は、荏原保健センターの仮庁舎内にある産後ケア室で、約2.5時間のケアを受けられる仕組みです。
デイサービス型では、育児相談、発育・発達相談、乳房ケア、母乳や卒乳・離乳食の相談など、幅広い内容のサポートが提供されます。利用には事前の申請が必要で、妊娠期の面談や出産準備個別相談の際に手続きを行うことができます。
「助けて」と言えなかった、あの頃
私自身、こうした制度があることを知ったのは、娘が生まれてからしばらく経った後のことでした。もっと早く知っていれば、あんなに一人で抱え込まずに済んだのではないかと、今でも思うことがあります。産後の母親は、体力的にも精神的にも、想像以上に不安定な状態に置かれています。誰かに頼ることは決して甘えではなく、むしろ必要な選択なのだと、もっと早く伝えてもらいたかったと感じています。
制度があっても、届かなければ意味がない
産後ケア事業は、素晴らしい制度です。けれど、出産直後の心身ともに余裕がない時期に、自分から情報を探しに行くこと自体が、大きなハードルになります。妊娠期の面談で案内を受けても、出産後のバタバタの中で忘れてしまうという声も聞きます。
だからこそ、出産後に区や病院から改めて連絡が来る仕組みや、パートナーや家族が代わりに申請できる体制を整えることが、制度の実効性を高める鍵になると感じています。
残る課題
- 宿泊型の対象施設や定員が限られており、希望しても利用できない場合があること
- 制度の存在自体が、対象となる家庭に十分周知されていないこと
- 申請手続きが、出産直後の忙しい時期には負担に感じられること
- 多胎児家庭や医療的なケアが必要な赤ちゃんへの対応が、まだ十分でないこと
多胎児家庭への配慮
双子や三つ子など、多胎児を育てる家庭にとって、産後の負担はさらに大きなものになります。一度に複数の赤ちゃんのお世話をしなければならない状況で、産後ケア事業の利用条件や受け入れ体制が、多胎児家庭にとって十分に配慮されたものになっているかどうかも、確認していきたいポイントです。
他の自治体の取り組みに学ぶ
他の自治体では、出産後に自動で産後ケアの利用案内が送付される仕組みや、オンラインで完結する申請フォームを整備しているところもあります。品川区としても、こうした「向こうから届く」仕組みを取り入れることで、本当に必要な家庭に制度が行き渡るようになると感じています。
わたしからの提案
- 出産後、自動的に産後ケア事業の案内が届く仕組みを整えること
- パートナーなど家族による代理申請をしやすくすること
- 宿泊型の受け入れ枠を、需要に応じて拡充すること
区民から寄せられた声
「宿泊型を利用して、久しぶりにぐっすり眠れた」「存在は知っていたけれど、申請のタイミングを逃してしまった」。産後ケア事業を実際に利用された方、利用しそびれてしまった方、両方の声が寄せられています。
パートナーの関わり方
産後ケアというと母親向けの支援というイメージが強いですが、パートナーがその存在を知り、申請や送迎をサポートすることも、利用のハードルを下げる大切な鍵になります。産後の母親自身が情報を探す余裕がないことも多いからこそ、家族ぐるみでこの制度を知っておく必要があると感じています。
産後うつという、見えにくいリスク
産後の時期は、ホルモンバランスの急激な変化もあり、産後うつのリスクが高まる時期でもあります。産後ケア事業は、身体的なケアだけでなく、母親のメンタルヘルスを支える役割も担っています。「誰かに話を聞いてもらえるだけで、気持ちが軽くなった」という声を、実際に利用された方から聞いたことがあります。
わたしからの提案
産後ケア事業と、産婦健診やメンタルヘルスチェックとの連携を強化すること。オンラインでの申請・相談窓口を整備し、外出が難しい産後の時期でも手続きしやすくすること。そして、この制度の存在を、母子手帳交付時だけでなく、出産直前・直後にも改めて案内する仕組みを整えることを提案したいと思います。
地域とのつながりも大切に
産後ケア事業のような公的な支援に加えて、地域の子育てサロンや先輩ママとのつながりも、産後の孤立感を和らげる大切な要素です。制度と地域、両方の支えがあってこそ、産後の時期を安心して過ごせるのだと感じています。
制度の谷間に落ちないように
産後ケア事業の対象は「生後1年未満」までとされていますが、実際には、1年を過ぎても育児の負担が軽くなるわけではありません。制度の対象年齢の境界線上で、支援が受けられなくなってしまう家庭がないか、今後も注視していきたいテーマです。
おわりに
産後の「しんどい」を、一人で抱え込まなくていい社会を、これからもつくっていきたいと思います。
里帰り出産をしない家庭への配慮
近年、実家が遠方だったり、両親が高齢だったりする理由で、里帰り出産をせずに品川区内で出産・育児を行う家庭が増えています。頼れる身内が近くにいない中での産後は、想像以上に孤独を感じやすいものです。だからこそ、産後ケア事業のような公的な支援の存在が、こうした家庭にとって、より一層重要な意味を持つのだと感じています。
すべての母親に届くように
産後ケア事業が、必要とするすべての母親にきちんと届くよう、これからも情報発信と制度改善の両面から、活動を続けていきたいと思います。
父親の育児参加という視点
産後ケアというと母親支援というイメージが強いですが、父親が育児休業を取得し、産後の家事・育児を積極的に担うことも、母親の負担軽減には欠かせません。品川区の産後ケア事業と、父親の育児参加を後押しする施策が両輪で進んでいくことを願っています。両親学級などの機会を通じて、父親にも産後の大変さを具体的にイメージしてもらうことが、家庭内での支え合いにつながると感じています。
おわりに
すべての母親が、安心して産後の時期を過ごせる品川区を目指して、これからも活動を続けていきます。
いただいたご意見をお待ちしています
産後ケア事業を利用された経験や、利用を検討して感じた壁など、皆様の体験談をぜひお聞かせください。今後の政策提言に活かしていきたいと思います。
制度を、育て続けるために
産後ケア事業は、まだ発展途上の制度です。利用者の声を反映しながら、より使いやすく、より多くの家庭に届く制度へと育てていくことが、これからの課題だと感じています。
産後の「しんどい」を、一人で抱え込まなくていい社会を、これからもつくっていきたいと思います。
これからも寄り添い続けます
出産や育児のかたちは、家庭によって様々です。どんな状況にある母親にも、必要な支援がきちんと届くよう、これからも制度の改善を訴え続けていきたいと思います。
まとめとして
産後という限られた期間だからこそ、必要な支援がタイミングを逃さず届くこと。それが何よりも大切だと感じています。制度の存在を知らせること、使いやすくすること、その両方に、これからも力を注いでいきたいと思います。
すべての母親が、安心して産後を過ごせる社会を目指します。
相談することへの心理的なハードル
「相談するほどのことじゃないかもしれない」「みんな同じように頑張っているのに、自分だけ弱音を吐いていいのだろうか」。そんな気持ちが、産後の母親が支援を求める一歩を妨げていることがあります。相談することは決して弱さではなく、むしろ自分と赤ちゃんを守るための、賢い選択なのだと伝えていきたいと思います。
今日、少しでも「しんどい」と感じているお母さんがいたら、どうか一人で抱え込まず、区の窓口に連絡してみてください。
助産師・保健師とのつながり
産後ケア事業をスムーズに利用するためには、担当の助産師や保健師との日頃からのつながりも大切です。妊娠期の面談で顔を合わせた専門職とのつながりが、産後の困りごとを相談しやすくする土台になります。品川区が行っている妊娠期からの伴走型支援と、産後ケア事業をより一体的に運用していくことが、利用のしやすさにつながると感じています。
産後という限られた時間だからこそ、必要な支援に無駄なくつながれる仕組みが大切です。妊娠期からの伴走型支援と産後ケアが、切れ目なくつながっていくことを、これからも見届けていきたいと思います。
今日という日を、産後の頑張りすぎを見直すきっかけにしていただけたら嬉しいです。
一人の母として
産後の「しんどい」は、誰にでも起こりうることです。それを一人で抱え込まず、頼れる制度があることを、もっと多くの方に知っていただきたいと思います。私自身の経験も踏まえながら、これからも産後ケアの充実を訴えていきたいと思います。
品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ
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