こんにちは。政治団体「品川区民とつくる未来」代表の新井さとこです。
穏やかな午後、窓を開けていると、突然、家全体が揺れるような轟音に驚く。テレビの音が聞こえなくなり、会話が中断される…。ここ数年、こうした経験をされた品川区民の方は、決して少なくないのではないでしょうか。
私の自宅がある品川の上空も、まさに飛行機の新しい通り道となっています。この問題は、もはや一部の地域のものではなく、私たちの暮らしの平穏と安全に直結する、品川区全体の重要な課題です。
今回は、この「羽田空港の新飛行経路」、いわゆる低空飛行問題について、現状と課題、そして私たちが求めるべきことについて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
なぜ、私たちの真上を飛行機が飛ぶようになったのか
この問題は、2020年3月から本格運用が始まった「羽田空港の新飛行経路」に起因します。目的は、増加する国際線に対応し、日本の国際競争力を高めるため、とされています。
具体的には、南風時の午後3時から7時の時間帯に、これまで主に海上を飛行していた到着便が、新宿・渋谷などの都心上空を通過し、品川区の上空を低空で飛行して羽田空港に着陸するルートが設定されました。
特に、大井町駅付近では高度約300m、西大井駅付近では約450mという、これまでに経験したことのない低さで大型の旅客機が通過します。300mというと、東京タワーのてっぺん(333m)とほぼ同じ高さです。その巨大な機体が、私たちのすぐ頭の上を飛んでいるのです。
住民が抱える「3つの深刻な不安」
国の政策であることは理解しつつも、この新ルートによって、住民の皆さんは深刻な不安と負担を強いられています。
1. 「騒音」による生活環境の悪化
飛行機通過時の騒音は、品川区の測定でも70~80デシベル台に達することが報告されています。これは、「騒々しい街頭」や「掃除機をかけている時の音」に相当する大きさです。この音が数分おきに発生することで、穏やかな暮らしは一変します。
「子どもが昼寝から起きてしまう」「窓を閉め切らないと会話ができない」「夏の暑い日でも窓を開けられない」という声は、決して大げさなものではありません。
2. 「落下物」への恐怖
「万が一、部品が落ちてきたら…」という恐怖は、ルート直下に住む方々にとって、常に付きまとう不安です。実際に、過去には航空機からの部品落下は国内外で発生しています。絶対安全とは言い切れない中で、住民の皆さんが不安を感じるのは当然のことです。
3. 「資産価値」への懸念
「この騒音では、家を売りたくても売れないのではないか」「土地の価値が下がってしまうのではないか」という、生活設計そのものを揺るがす不安の声も多く寄せられています。
声を上げ続ける。品川区の取り組みと、私たちが求めること
この記事で指摘されている騒音や落下物の恐怖は、決して一部の人の懸念ではありません。私の周りにいる子育て中の友人たちの間でも、「子どもたちが怖がって外で遊べなくなった」「窓を閉めていても飛行機の音で会話が途切れる」といった声が頻繁に聞かれ、生活への深刻な影響を肌で感じています。地域住民の平穏な日常を守るためにも、この問題がいかに大きな課題であるか、改めて重く受け止める必要があります。
品川区も、この問題を座視してきたわけではありません。これまでも、区内各所で騒音測定を実施し、そのデータを公表するとともに、国に対して繰り返し、住民への丁寧な情報提供や説明、そして騒音・落下物対策の徹底を求める意見書や要望書を提出してきました。
しかし、国の姿勢は依然として「丁寧な説明を継続する」という域を出ておらず、住民の皆さんが納得できる抜本的な解決策は示されていないのが現状です。
経済の発展や国際的な役割も大切です。しかし、それによって、そこに住む人々の平穏な生活という、何にも代えがたいものが犠牲にされて良いはずがありません。
私たちが国に求めるべきは、ごまかしのない「対話」と、住民が納得できる「説明」、そして何よりも「実効性のある対策」です。
- 飛行経路の固定化は避けるべきです。
- より静かな機体の導入(低騒音機化)のさらなる促進を求めたいと思います。
- 防音工事への助成など、実質的な生活支援策の拡充が必要と考えています。
一人の声は小さいかもしれません。しかし、その声が集まれば、必ず大きな力になります。諦めることなく、共に声を上げ続けることが何よりも重要だと、私はそのように思っております。
私も「品川区民とつくる未来」の代表として、皆さんの不安な気持ちに寄り添い、その声をしっかりと品川区や関係機関に届け、この問題の改善に向けて粘り強く働きかけていきたいと思います。
品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ
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