100年に一度の再開発。リニアがもたらす未来と、私たちの足元にある不安

こんにちは。「品川区民とつくる未来」代表の、新井さとこです。

今、私たちのまち品川、特に品川駅の西口周辺は「100年に一度」とも言われる大きな変革の時を迎えようとしています。2027年度以降の開業を目指すリニア中央新幹線。その始発駅となる品川は、世界中から人々を迎える日本の新しい玄関口として、大きく姿を変えようとしています。

駅前には国際会議場やホテルが一体となった巨大な複合施設が建ち、人の流れが変わり、新しいビジネスや雇用が生まれる…。そんな華やかな未来予想図に、胸が躍る方も多いかもしれません。

しかし、その壮大な計画の足元で、長年この地域に暮らす人々が、静かな、しかし深刻な不安を抱えていることを、私たちは忘れてはならないと思います。

友人と語り合った、私たちの家の「真下」で進む工事への懸念

先日、北品川に住む長年の友人と、お茶を飲みながら話す機会がありました。彼女の家の近くでも、リニア関連の工事が進んでいます。

「さとこさん、正直言って、夜ちゃんと眠れていないのよ」

彼女はそう言って、深くため息をつきました。

「リニアは地下40mより深い『大深度地下』を通るから、地上の生活には影響がないって説明されているわ。でも、本当にそうなのかなって…。工事の振動もそうだし、開業した後、夜中にずっと『ゴォー』っていう低い音が地中から響いてきたらどうしようって考えると、怖くなるの」

これは、彼女一人の考えではありません。

別の友人からは、数年前に調布市で起きた陥没事故の話が出ました。

「あの事故だって、大深度のトンネル工事が原因だったでしょう?この辺りは埋立地も多くて、決して地盤が強い場所じゃない。そんな場所の真下を、巨大なシールドマシンが掘り進んでいく。万が一、うちの家が傾いたり、道路が陥没したりしたら…って考えると、最悪の事態ばかり頭に浮かんでしまうのよ」

そして、最も切実だったのが、資産価値に関する不安でした。

「『リニアの始発駅ができて便利になるから、土地の値段も上がる』なんて言う人もいるけど、私たちは逆じゃないかって心配しているの。『リニアが真下を通る、陥没リスクのある土地』なんていうレッテルを貼られて、大切な家の価値が下がってしまったら、誰が補償してくれるのかしら…」

安全と安心を最優先に。事業者に求められる説明責任

これらの声は、決して大げさなものではなく、この地域に暮らす住民としての、あまりにも当然で切実な不安です。私たちは、リニア計画そのものに、ただ反対したいわけではありません。新しい技術が未来を切り拓く可能性も理解しています。

しかし、どのような素晴らしい計画であっても、そこに住む人々の安全と、穏やかな日常、そして大切な財産が脅かされることがあっては、本末転倒です。

事業者であるJR東海には、これまで以上に丁寧で、透明性の高い情報公開が求められます。「法律上、問題ありません」「基準値以下です」といった説明だけでなく、住民が抱える一つひとつの不安に対し、誠実に向き合い、納得できるまで対話を重ねる責任はあると考えております。

そして、品川区(行政)には、事業者任せにすることなく、区民の生命と財産を守るという最も重要な責務を果たすため、工事の安全性について厳しく監督・監視する役割を、より一層強く果たしていただきたいと願っています。

未来の街づくりは、区民と共に

100年に一度の街づくり。その主役は、事業者でも行政でもなく、そこに住み、働き、暮らす私たち区民一人ひとりです。

「品川区民とつくる未来」は、これからも地域の方々の小さな声に耳を傾け、その声を大きな力として、行政や事業者に届けてまいります。この問題に、ぜひ関心を持ち続けてください。そして、あなたの不安や意見を、どうか聞かせてください。

安全で安心な暮らしという土台の上にしか、輝かしい未来は築けません。

品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ

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