こんにちは。「品川区民とつくる未来」代表の、新井さとこです。
去年の夏、公園に子どもを連れて行こうとした矢先、日中の気温があまりに高く、結局外出を諦めた日が何度もありました。「外で思いきり遊ばせてあげたいのに、命に関わる暑さでは仕方がない」。そう自分に言い聞かせながらも、どこか納得できない気持ちが残りました。年々厳しくなるこの暑さは、もはや一時的な異常気象ではなく、まちづくりそのものが向き合うべき課題になっていると感じています。
品川区は令和5年6月に「ゼロカーボンシティしながわ宣言」を行い、2030年度のカーボンハーフ、2050年度のゼロカーボンを目標に掲げました。今回は、この脱炭素・緑化政策の今と、暮らしの実感との距離について、考えてみたいと思います。
ゼロカーボンシティしながわ宣言とは
この宣言は、区内から排出される温室効果ガスを段階的に減らし、将来的には実質ゼロにしていくことを目指すものです。具体的な取り組みとして、区有施設での省エネサービスの共創に向けた実証実験などが進められています。大きな目標を掲げるだけでなく、実際にどう行動を変えていくかという段階に、少しずつ移りつつあります。
脱炭素というと、遠い未来の、大きな話のように感じる方も多いかもしれません。けれど実際には、私たちの暮らしの一つひとつの選択、電気の使い方、移動の仕方、住まいの断熱性能といった積み重ねが、その先の目標につながっています。
緑とヒートアイランド対策
「品川区みどりの条例」に基づき、一定規模の建築行為には緑化指導が行われています。東京都全体としても、保水性舗装や屋上緑化、校庭の芝生化といったヒートアイランド対策が進められています。こうした取り組みは、地球規模の環境問題への対応であると同時に、目の前の「今日の暑さ」を和らげる、暮らしに直結する対策でもあります。
大きな数字の目標も大切ですが、「近所の公園に日陰が増えた」「通学路に緑が増えた」という実感につながってこそ、政策は意味を持つと思います。緑化は、見た目の美しさだけでなく、子どもたちの健康や安全にも関わる、切実なテーマです。
公園で感じる、暑さの現実
先日、日中を避けて夕方に公園へ行ってみたのですが、それでもまだ地面からの照り返しが強く、子どもたちは日陰のベンチに集まって遊んでいました。木陰のある場所とない場所とで、遊んでいる子どもの数がはっきり違うことに気づき、緑の有無がここまで暮らしに影響するのかと、あらためて実感しました。
近隣の保護者の方々と話していても、「熱中症が怖くて、夏場は外遊びの時間をかなり短くしている」という声をよく聞きます。子どもたちの体力づくりや外遊びの機会が、気候変動によって静かに奪われつつあるのだと感じています。
残る課題
- 緑化指導の対象が新築や大規模改修に限られ、既存の住宅街への緑化が広がりにくいこと
- 公園の遊具エリアに日陰が少なく、夏場は利用できる時間帯が限られること
- 省エネ設備の導入コストが依然として高く、一般家庭には手が届きにくいこと
- 脱炭素の取り組みが、区民の日常生活の実感として伝わりにくいこと
目標の数字だけが独り歩きしないよう、区民一人ひとりが「自分にもできること」を実感できる工夫が、もっと必要だと感じています。
他の自治体の取り組みに学ぶ
他の自治体では、公園の遊具エリアに大型の遮光ネットを設置したり、ミストシャワーを備えた休憩スポットを増やしたりする取り組みが進んでいます。また、断熱リフォームや太陽光パネルの設置費用を手厚く助成し、家庭レベルでの省エネを後押しする自治体もあります。
品川区でも、こうした具体的で分かりやすい対策を積み重ねていくことで、「脱炭素」という言葉が、より身近なものとして受け止められるようになるはずです。
わたしからの提案
- 公園の遊具エリアへの日陰対策を優先的に進めること
- 既存住宅の断熱改修や省エネ機器導入への助成をさらに拡充すること
- 脱炭素の取り組みを、数値目標だけでなく「暮らしがどう変わるか」という形で発信すること
- 学校教育の中で、気候変動について子どもたちが考える機会を増やすこと
数字の裏にある、暮らしの実感
カーボンハーフ、ゼロカーボンといった目標の数字は、正直なところ、日々の生活の中では実感しにくいものです。けれど、その数字の先には、確実に「暑さが和らいだ夏」や「災害が少ないまち」があるはずです。行政には、大きな目標と、目の前の暮らしをつなぐ翻訳者としての役割がもっと求められていると感じています。
例えば、区が発行する広報誌で「今年、区内でどれだけ太陽光パネルが増えたか」「街路樹が何本植えられたか」といった具体的な変化を伝えるだけでも、区民の実感はずいぶん変わるのではないでしょうか。
子育て世帯にとっての環境政策
環境政策というと、企業や大きな施設の取り組みを思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、子育て世帯にとっては、公園の日陰、通学路の街路樹、保育園や小学校の校庭の緑化など、子どもの日常に直結するテーマでもあります。環境政策を「大人の理屈」で終わらせず、子どもたちの毎日の快適さに結びつけて語ることが大切だと感じています。
娘の通う小学校では、近年校庭の一部に日除けとなる植栽が増えました。小さな変化ですが、実際に子どもたちが休み時間を過ごす場所が広がったことを、親として嬉しく感じています。
区民から寄せられた声
「太陽光パネルを付けたいけれど、初期費用が高くて踏み切れない」「マンション住まいなので、緑化といっても何をすればいいのか分からない」「猛暑で子どもを公園に連れて行けない日が増えた」。環境政策に関して、これまでいただいた声の多くは、こうした「気持ちはあるけれど、手段が分からない、または手が届かない」というものでした。
制度を作るだけでなく、一人ひとりが「自分にもできること」を見つけられるよう、選択肢を分かりやすく示していくことが、行政の大切な役割だと感じています。
わたしからの追加の提案
マンション住民でも参加できるベランダ緑化や、共用部の緑化に関する簡易な助成メニューを整えること。猛暑日には、図書館や児童センターなど涼しい屋内施設を「クールシェアスポット」として積極的に周知すること。こうした、費用をかけずにできる工夫も、あわせて広げていきたいと考えています。
次の世代に引き継ぐまちのかたち
脱炭素や緑化の取り組みは、成果が目に見えるまでに時間がかかるテーマです。今日植えた木が大きく育ち、十分な日陰をつくるまでには何年もの歳月が必要です。だからこそ、目先の成果だけを追い求めるのではなく、長い目で見たまちづくりとして、腰を据えて取り組んでいく姿勢が求められます。
私は、政治の役割の一つは、こうした「すぐには成果が出ないけれど、必ず必要なこと」に、責任を持って取り組み続けることだと思っています。
家庭でできる小さな一歩
大きな政策の話をする一方で、家庭でできることも忘れてはいけないと思います。ベランダでの植物栽培、エアコンの設定温度の見直し、徒歩や自転車での移動を増やすこと。どれも小さな行動ですが、地域全体で積み重なれば、確かな変化につながります。我が家でも、ベランダにミニトマトを植えてみたところ、娘が水やりを楽しみにするようになり、環境について話す良いきっかけになりました。
おわりに
脱炭素や緑化というテーマは、地味に見えて、実は子どもたちの毎日の快適さや、この先何十年も続くまちの姿を左右する、とても大きなテーマです。大きな目標の数字だけでなく、公園の木陰一本、ベランダの緑一つから、これからも品川区の環境政策を見つめ続けていきたいと思います。皆様の暮らしの中で感じた「暑さ」や「緑」についてのお気づきも、ぜひお聞かせください。
環境と経済、両立への挑戦
環境対策というと、コストがかかる、我慢を強いられるというイメージを持たれがちです。しかし実際には、省エネ機器の導入によって光熱費が下がったり、緑化によって不動産価値が上がったりと、経済的なメリットも少なくありません。環境と経済を対立するものとして捉えるのではなく、両立できるものとして政策を組み立てていくことが、これからの品川区には必要だと感じています。
私たちにできること
大きな政策も大切ですが、まずは自分の家庭やご近所でできることから始めてみませんか。ベランダに一鉢の緑を置くこと、夏場は無理に外出を避けること、省エネ家電への買い替えを検討すること。小さな一歩の積み重ねが、この街の未来を形づくっていきます。
子どもたちに恥ずかしくないまちを、次の世代にきちんと引き継いでいきたい。そう強く思っています。
一人の母として
子どもたちが大人になる頃、この夏の暑さがさらに厳しくなっているのか、それとも少しでも和らいでいるのか。その未来は、今の私たちの選択にかかっています。大きな目標を掲げるだけでなく、公園の木陰一つ、家庭の省エネ一つから、この街を少しずつ変えていきたいと思っています。
子どもたちが安心して外で遊べる季節が、これからも続いていく品川区であってほしい。そう願いながら、これからも活動を続けていきます。
品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ
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