もしもの時、一緒に逃げられる?品川区の「ペット同行避難」の今と課題

こんにちは。「品川区民とつくる未来」代表の、新井さとこです。

以前このブログでも書きましたが、私はかつて愛犬のはなと十数年を共に暮らしました。地震のニュースを見るたびに、「もし今、大きな災害が起きたら、はなと一緒にどうやって逃げよう」と、何度も考えたことを覚えています。ペットと暮らすご家庭であれば、多くの方が一度は同じ不安を抱いたことがあるのではないでしょうか。

品川区でも「同行避難」という考え方が広がっていますが、これは避難所でペットと同じ部屋で暮らせるという意味ではありません。今回は、品川区における同行避難の実際の姿と、そこに残る課題についてお伝えします。

お困りごとがございましたら新井さとこまでお気軽にご相談ください

品川区の同行避難のかたち

品川区の避難所では、基本的に屋外にケージを置き、飼い主自身が管理する形が想定されています。雨天や荒天時には、敷地内の屋根がある場所を使うことも想定されているようです。対象となるのはケージに入る大きさのペットで、ケージに入らない大型犬などは同行避難が難しいのが現状です。

「同行避難」という言葉から、つい「一緒に安全な場所で過ごせる」とイメージしてしまいがちですが、実際には「一緒に避難所までは行けるが、そこから先は飼い主の備えと工夫が必要」というのが実情です。この認識のずれこそが、災害時の混乱を生む一因になりかねないと感じています。

備えは飼い主自身の手で

品川区には災害備蓄品としてのペットフードの用意はなく、ケージやフードは飼い主が用意して持参する必要があります。「しながわ防災学校」でも、ペットの飼い主に向けた心構えについての啓発が行われています。普段からケージに慣れさせておくこと、フードや水を数日分備蓄しておくこと、迷子札やマイクロチップで身元が分かるようにしておくこと。どれも、災害が起きる前の「平時」にしかできない備えです。

はなとの日々を思い出しながら

はなが元気だった頃、実際に防災用の折りたたみケージを購入し、練習のつもりで数日間家の中で過ごさせてみたことがあります。最初はひどく落ち着かない様子で鳴き続け、慣れるまでにかなりの時間がかかりました。もし本当の災害時に、初めてケージに入れようとしていたら、パニックになっていたのは私の方だったかもしれません。

ペットにとっても、飼い主にとっても、「もしもの時」のリハーサルをしておくことがどれほど大切か、身をもって実感した出来事でした。

残る課題

  • 大型犬などケージに入らないペットの避難先が明確でないこと
  • 避難所によって、ペット受け入れのスペースや運用に差があること
  • 飼い主自身の備えについて、平時からの周知が十分でないこと
  • ペットアレルギーを持つ避難者との共存をどう図るかという課題が残っていること

ペットは家族の一員であると同時に、避難所という共同生活の場では、配慮すべき「他者への影響」も存在します。この両方に目を配った、きめ細かなルールづくりが求められています。

他の自治体の取り組みに学ぶ

一部の自治体では、ペット同行避難者専用のスペースをあらかじめ図面上で決めておき、訓練の際に実際に運用を確認する取り組みを行っています。また、地域の獣医師会と連携し、災害時にペットの健康相談を受けられる体制を整えている地域もあります。

品川区でも、こうした先進事例を参考にしながら、「同行避難できる」ことと「避難所で安心して過ごせる」ことの間にあるギャップを、少しずつ埋めていく必要があると感じています。

わたしからの提案

  • ペット同行避難の実際の流れを、より具体的に区民へ周知すること
  • 大型犬など、ケージに入らないペットの避難方法について、地域の実情に応じた検討を進めること
  • 地域の防災訓練にペット同行避難の訓練を組み込み、飼い主自身が体験できる機会を増やすこと
  • 獣医師会など専門家との連携を強化し、災害時の相談体制を整えること

数字で見る、ペットと暮らす世帯

近年、都市部ではペットを飼う世帯が増え続けています。マンションでの飼育も一般的になり、ペットは多くの家庭にとって、なくてはならない家族の一員になりました。だからこそ、防災計画の中でペットの存在をどう位置づけるかは、これからますます重要なテーマになっていくはずです。

一方で、防災計画そのものは、まだ「人」を中心に組み立てられている部分が大きく、ペットへの配慮は付随的なものにとどまっているように感じます。ペットとの暮らしが当たり前になった今の時代に合わせて、計画そのものをアップデートしていく必要があると思います。

飼い主同士のつながりの大切さ

はなと暮らしていた頃、近所の犬友達を通じて、災害時に助け合う約束をしていたことがあります。「もし自分が家にいないときに何かあったら、お互いのペットの様子を見に行こう」という、ごく簡単な口約束でしたが、それだけでも心強さが違いました。行政の制度だけでなく、飼い主同士の日頃からのつながりも、実は大きな防災力になるのだと感じています。

地域の飼い主同士が顔を合わせる機会を、区としても後押ししていけたらと思っています。

区民から寄せられた声

「ケージに入らない大型犬を飼っているが、災害時にどうすればいいのか分からない」「アレルギーがあるので、避難所でペットのいるエリアが分かれているとありがたい」。ペット同行避難については、飼い主側とそうでない方側、それぞれの立場から様々な声をいただきます。

どちらか一方の都合だけを優先するのではなく、双方が納得できる運用ルールを、平時のうちから地域で話し合っておくことが大切だと感じています。

わたしからの追加の提案

地域の防災訓練の際に、ペット同行避難のシミュレーションを実際に取り入れること。ペットを飼っていない方にも、同行避難の実情を知ってもらう機会を設け、避難所での共存への理解を広げること。こうした地道な積み重ねが、いざという時の混乱を減らすはずです。

ペットも家族という前提に立つこと

防災計画を考えるとき、「ペットは特別な配慮が必要な存在」という前提ではなく、「ペットも家族の一員であることが当たり前」という前提に立つことが、これからは必要だと感じています。単身高齢者にとって、ペットが心の支えになっているケースも多く、ペットを置いて避難することをためらい、結果的に避難が遅れてしまう危険性も指摘されています。

ペットとの同行避難を前提とした計画づくりは、実は人の命を守ることにも直結しているのです。

これからの備えについて

災害はいつ起きるか分かりません。だからこそ、日頃からの備えが何よりも大切です。ケージやキャリーバッグを普段から生活の中に置いておくこと、フードや水を少し多めにストックしておくこと、そして家族の中で「もしもの時、誰がペットを連れて避難するか」を話し合っておくこと。どれも今日からできることばかりです。

おわりに

ペットとの同行避難は、制度としてはまだ発展途上の分野です。だからこそ、飼い主一人ひとりの備えと、地域のつながりが、これまで以上に大切になってきます。大切な家族を守るための小さな備えを、今日からぜひ始めてみてください。皆様の体験や工夫があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

マンションでの同行避難という課題

品川区は集合住宅にお住まいの方も多く、マンション特有の課題もあります。エレベーターが止まった際にペットを連れて階段を降りることの負担、共用部でのペットの扱いに関する規約との兼ね合いなど、戸建てとは異なる悩みも聞かれます。住まいの形態に応じた、きめ細かな情報提供も必要だと感じています。

備えあれば憂いなし

「まだ大丈夫」「うちは大丈夫」と思っているうちに、災害は突然やってきます。ペットのためのケージやフードの備蓄は、思い立ったその日から始められます。ぜひ今日、ご家庭のペット用防災グッズを確認してみてください。

地域ぐるみの備えへ

飼い主一人ひとりの備えに加えて、町会やペット友達のネットワークを通じた、地域ぐるみの助け合いの仕組みづくりも大切です。日頃からの小さなつながりが、いざという時、ペットと家族の命を守る力になります。これからも、こうした地域の輪を広げるお手伝いをしていきたいと思います。

いただいたご意見をお待ちしています

ペットとの防災について、皆様がご家庭で工夫されていることや、避難所運営について感じていることがあれば、ぜひ教えてください。現場の声を集めることが、より実効性のあるルールづくりの第一歩になると考えています。

ペットは言葉を話せない分、私たち飼い主が代わりに考え、備えてあげる必要があります。はなと過ごした日々を思い出しながら、これからも防災とペットというテーマに向き合い続けたいと思います。

今日という日を、備えを見直すきっかけにしていただけたら嬉しいです。

一人の母として

大切な家族の一員だからこそ、日頃からの備えについて、まずはご家庭で一度話し合ってみてください。ケージに慣れさせておくこと、フードを備蓄しておくこと、そして家族で「もしもの時」の役割分担を決めておくこと。どれも今日からできる小さな備えです。

はなが教えてくれた「備えの大切さ」を、これからも多くの方に伝えていきたいと思います。

品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ

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