こんにちは。「品川区民とつくる未来」代表の、新井さとこです。
保育園の入園がようやく決まったとき、多くの親御さんが「これで一安心」と胸をなでおろします。けれど、その安心も長くは続きません。子どもが小学校に上がった瞬間、今度は「放課後、この子はどこで過ごすんだろう」という新しい不安がやってきます。世間ではこれを「小1の壁」と呼ぶそうですが、実際に経験してみると、壁というよりも、目の前に急に現れる崖のような感覚に近いと感じました。
保育園時代は延長保育があり、朝早くから夜遅くまで預けられる仕組みが整っていました。ところが小学校に上がった途端、下校時間は早まり、長期休みは長くなり、預け先の仕組みもがらりと変わります。「保育園のときの方が働きやすかった」という声を、実際に多くの保護者の方から聞いてきました。
品川区では、この放課後の居場所として、全区立小学校に「すまいるスクール」という施設があります。学童クラブと遊び場が一体となった仕組みで、多くの共働き家庭にとって欠かせない存在です。今回は、このすまいるスクールの今と、これから考えていきたい課題についてお伝えします。
校内で完結する安心感
すまいるスクールの大きな特徴は、授業が終わったあと、校舎を出ることなくそのまま施設に向かえることです。保護者としては、子どもが一人で知らない道を歩いて移動する必要がないというだけで、心理的な負担がかなり軽くなります。
利用形態は大きく分けて三つあります。遊びを中心に自由に過ごす「A登録」、学童クラブとしての機能を持つ「B登録」、そして就労などの事情で延長して利用できる「C登録」です。家庭の状況に合わせて選べる仕組みになっているのは、心強いポイントだと思います。
待機児童ゼロ、その先にある課題
品川区のすまいるスクールには、保育園のような明確な「定員」という考え方がなく、待機児童は生まれにくい仕組みになっています。これは全国的に見ても評価されるべき点だと思います。一方で、実際に利用している保護者や子どもたちからは、別の角度からの声も聞こえてきます。
- 子どもの人数が多い時間帯は、落ち着いて宿題に取り組める環境が限られること
- 学年や興味関心が異なる子どもたちが同じ空間で過ごすため、過ごし方に差が出やすいこと
- 職員の方々の負担が大きく、きめ細かな見守りを続けることが簡単ではないこと
- 長期休み期間中は利用時間が長くなり、子どもにとっても職員にとっても負担が増えること
「預けられる場所がある」という安心の、その先にある「安心して過ごせる時間の質」まで、私たちは目を向けていく必要があると感じています。定員に縛られない仕組みだからこそ、現場の人手や空間には限りがあるという現実も、きちんと見つめなければなりません。
働く親としての実感
私自身、娘が小学校に上がったばかりの頃、仕事の都合で迎えの時間がぎりぎりになってしまうことが何度もありました。すまいるスクールに迎えに行くと、疲れた様子で待っている娘を見て、「今日一日、ちゃんと楽しく過ごせたかな」と、いつも少し不安になったことを覚えています。
ある日、娘が「今日は静かなところがなくて、宿題ができなかった」とぽつりと言ったことがありました。決して施設や職員の方を責める言葉ではなく、ただ事実として、そう感じたのだと思います。子どもにとって、親が仕事をしている間の時間は、決して「隙間の時間」ではありません。友達との関わり方を学び、遊びを通じて成長していく大切な時間です。だからこそ、その場所がただ「預かる」だけの機能で終わらないよう、質の面にもしっかり投資していく必要があると思っています。
これから目指したいこと
すまいるスクールをさらに良い場所にしていくためには、職員体制の充実、静かに過ごせる小さなスペースの確保、学習支援と自由な遊びのバランスの見直しなど、現場の声を丁寧に拾いながら改善していくことが欠かせません。
- 学年やその日の気分に応じて、静かに過ごせる場所を選べる工夫をすること
- 職員の方々の待遇や研修体制を充実させ、離職を防ぐこと
- 長期休み期間中の過ごし方について、保護者と施設が意見交換できる場をつくること
- 地域の大人やボランティアが、学びや遊びのサポートに関われる仕組みを広げること
制度としての器はできあがっているからこそ、次はその中身を、子どもたち一人ひとりに合わせて育てていく段階に来ていると感じています。
他区の取り組みに見るヒント
近隣の自治体を見てみると、学童保育の質を高めるための様々な工夫が行われています。学習支援のプログラムを外部の教育団体と連携して提供している自治体や、静かに過ごせる「クールダウンスペース」を設けている施設、地域の大学生ボランティアが学習サポートに入る仕組みを持つ自治体もあります。
品川区のすまいるスクールも、校内完結型という優れた基盤を持っているからこそ、こうした工夫を上乗せしていく余地は十分にあると感じています。ハードとしての施設はすでに整っているのですから、次はソフト面、つまり「そこでどう過ごすか」に力を注ぐ段階に来ていると思います。
保護者同士で共有したい情報
すまいるスクールを利用する保護者同士で話していると、意外と情報が共有されていないと感じることがあります。C登録の延長利用の申し込み方法、長期休み中の過ごし方、忘れ物や体調不良時の連絡ルールなど、知っていれば助かる情報が、口コミ頼りになっている部分も多いのが現状です。
入学時にまとめて渡される案内だけでなく、学年が上がるタイミングや長期休みの前など、節目ごとに必要な情報を分かりやすく届ける工夫があれば、保護者の不安はもっと軽くなるはずだと感じています。
放課後の時間が持つ意味
放課後の時間は、ただの「空き時間」ではありません。友達とケンカをして仲直りする経験、初めての遊びに挑戦する時間、誰かに頼らずに自分で考える練習。学校の授業では得られない学びが、実はこの時間にたくさん詰まっています。だからこそ、すまいるスクールという場所の「質」に、私たちはもっと目を向けるべきだと思うのです。
共働き家庭が当たり前になった今、放課後の居場所は、一部の家庭だけの問題ではありません。品川区に住むすべての子どもたちにとって、安心できる時間になってほしいと願っています。
わたしからの提案
すまいるスクールをより良い場所にしていくために、私は次のような提案を考えています。まず、学年やその日の体調・気分に応じて過ごし方を選べるよう、静かなスペースと活発に遊べるスペースを明確に分けること。次に、職員の方々が安心して長く働き続けられるよう、待遇や研修の充実を図ること。そして、保護者が施設の様子や困りごとを気軽に共有できる、定期的な意見交換の場を設けることです。
「小1の壁」を感じさせない品川区を目指して、これからも現場の声を丁寧に拾いながら、提言を続けていきたいと思います。
入学前に知っておきたいこと
すまいるスクールの利用を検討する際は、入学前の学校説明会や区の窓口で、A登録・B登録・C登録それぞれの違いや申し込み方法を早めに確認しておくことをおすすめします。特にC登録を希望する場合は、就労証明などの書類が必要になることもあるため、余裕を持った準備が安心につながります。
すべての子どもに、安心できる放課後を
すまいるスクールという仕組みがあることで、多くの家庭が救われてきたのは事実です。けれど、制度が整っていることと、そこで過ごす一人ひとりの子どもが本当に安心できているかどうかは、別の問題です。人数が多い日、職員の方が忙しそうにしている日、なんとなく居場所がないと感じてしまう日。そうした小さな違和感を、子どもたちは案外、言葉にせずに抱え込んでいるものです。
だからこそ、保護者として、そして政治に関わる立場として、「大丈夫だった?」と聞くだけでなく、実際に現場に足を運び、子どもたちの様子を見続けることを大切にしたいと思っています。制度を作った後も、育て続ける責任が私たちにはあります。
兄弟姉妹で違う過ごし方への配慮
兄弟姉妹で学年が違うと、すまいるスクールでの過ごし方への希望も変わってきます。上の子は静かに宿題をしたい、下の子は思いきり体を動かして遊びたい。そうした違いに柔軟に対応できる環境づくりも、これからの課題の一つだと感じています。一人ひとりの子どもに合った過ごし方を選べる余地が、もっと広がってほしいと願っています。
これからも現場に足を運びます
制度を語るとき、資料の上の言葉だけで判断するのではなく、実際にすまいるスクールに足を運び、子どもたちの表情を見て、職員の方々の声を聞き続けることを大切にしたいと思っています。現場を知らなければ、本当に必要な改善は見えてこないからです。
放課後の時間は、子どもたちが自分のペースで成長していく大切な時間です。制度としての「すまいるスクール」がある品川区だからこそ、そこで過ごす時間の中身にも、もっとこだわっていきたい。そう強く思っています。
おわりに
すまいるスクールという仕組みは、多くの家庭にとって欠かせない支えです。だからこそ、これからも制度に安住せず、より良いものへと育てていく視点を持ち続けたいと思います。皆様からの体験談やご意見も、ぜひお寄せください。
一人の母として
「小1の壁」という言葉自体を、いつかこの街からなくしたい。そのために、制度の存在だけで満足せず、実際にそこで過ごす子どもたちの表情や声に、これからも耳を傾けていきたいと思います。
品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ
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