こんにちは。「品川区民とつくる未来」代表の、新井さとこです。
実家の母に電話をしたとき、「LINEでスタンプは送れるけど、写真の送り方が分からなくて」と困った様子で話していたことがありました。私が電話越しに操作方法を説明しても、画面が見えない状態ではなかなか伝わらず、結局「今度帰ったときに教えるね」で終わってしまう。同じような経験をお持ちの方は、きっと少なくないはずです。
「スマホは持っているけれど、正直よくわからない」。そんな声を、高齢の親を持つ世代からもよく聞きます。品川区では60歳以上でスマートフォンをほとんど使っていない方向けに「はじめてのスマホ体験教室」と「スマホよろず相談」を行っています。今回は、この取り組みについてお伝えします。
体験教室とよろず相談、それぞれの特徴
体験教室は旗の台シルバーセンター、東品川ゆうゆうプラザ、大崎ゆうゆうプラザなどで開催されており、全4回のコースで教材費として1,000円が必要です。決まったカリキュラムに沿って、基本的な操作から少しずつ学べる仕組みになっています。よろず相談は無料で、複数の会場で曜日ごとに時間帯を分けて開催されています。申込はスマホ体験教室・よろず相談事務局(0120-616-614)です。
「教室」と「よろず相談」、この二段構えになっていることが、実はとても良い工夫だと感じています。まず教室で基本を学び、分からないことが出てきたら、よろず相談で個別に質問する。学びっぱなしにせず、フォローアップできる仕組みがあることが安心につながります。
民間の講習会も活用できます
総務省の「デジタル活用支援推進事業」に基づき、区内の携帯ショップなどでも無料講習会が開かれています。行政の窓口だけでなく、日頃利用している身近なお店でも学べる選択肢があることは、通いやすさの面でも大きなメリットだと思います。
デジタル格差が生む、見えない不利益
スマートフォンが使えないことは、単に「連絡が取りにくい」というだけの問題ではありません。行政手続きのオンライン化が進む中、予約システムや申請フォームがスマートフォン前提になっている場面も増えてきました。使える人にとっては便利なこの変化が、使えない人にとっては、静かに取り残される原因になってしまう。この「見えない不利益」に、私たちはもっと敏感であるべきだと感じています。
母の世代を見ていると、「聞くのが恥ずかしい」「何度も同じことを聞いて申し訳ない」という気持ちが、学ぶことへのハードルになっているようにも感じます。安心して何度でも聞ける場があることの価値は、思っている以上に大きいはずです。
残る課題
- 体験教室やよろず相談の開催会場や時間帯が限られており、通いにくいと感じる方がいること
- 「申し込み方が分からない」という、そもそもの入り口でつまずく方がいること
- 一人で悩みを抱え込みやすい高齢者に、こうした支援の存在がまだ十分に届いていないこと
- 操作方法だけでなく、詐欺被害などデジタルリスクへの理解を深める機会が不足していること
他の自治体の取り組みに学ぶ
一部の自治体では、地域の中学生や高校生が高齢者にスマートフォンの使い方を教える「世代間交流型」の講座を開いています。教える側の若者にとっても、地域の高齢者と関わる貴重な機会になっているそうです。品川区でも、こうした多世代交流を取り入れた学びの場が広がれば、単なる操作講習を超えた、地域のつながりづくりにもなると感じています。
わたしからの提案
- 体験教室・よろず相談の開催会場と回数をさらに増やすこと
- 申し込み自体を電話だけでなく、家族が代理でしやすい仕組みに整えること
- 詐欺被害防止など、デジタルリスクについても学べる内容を組み込むこと
- 地域の若い世代が高齢者に教える、世代間交流型の講座を広げること
デジタル化が進むほど、置き去りにされる人がいる
行政手続きのオンライン化、キャッシュレス決済の普及、予約システムのデジタル化。便利さが広がるスピードは年々加速していますが、その速さについていけない人がいることを、私たちは忘れてはいけないと思います。特に高齢者にとっては、一度「分からない」と感じてしまうと、その後の変化にもついていくことを諦めてしまいがちです。
デジタル化は、効率化のための手段であるはずなのに、使えない人にとっては、かえって不便で疎外感を覚えるものになってしまう。この矛盾を解消するためには、デジタルを「使えるようにする支援」と、デジタルを使わなくても困らない「アナログの選択肢」の両方を、当面は維持していく必要があると感じています。
家族としてできること
高齢の親のスマートフォン利用を、家族がどうサポートするかも大切な視点です。私自身、母に操作方法を教えるとき、つい早口で説明してしまい、「もう少しゆっくり教えて」と言われたことがあります。教える側の忍耐と、繰り返し伝える工夫が必要なのだと、身をもって学びました。
区の支援と家族のサポート、その両方があってこそ、高齢者とデジタルの距離は少しずつ縮まっていくのだと思います。
区民から寄せられた声
「一度教わってもすぐに忘れてしまうので、何度も通える場があるとありがたい」「夫を亡くしてから、連絡手段がスマホしかなくて焦って教室に通い始めた」。スマホ相談の会場でお聞きした声には、それぞれの人生の背景が滲んでいました。
デジタル機器の操作は、単なる技術の習得ではなく、その人の暮らしや人とのつながりを守るための、切実な学びなのだと感じさせられます。
わたしからの追加の提案
一度きりの講習で終わらせず、継続して通える「常設型」の相談窓口を増やすこと。操作に不安がある方向けに、家族が同伴しやすい時間帯を設定すること。こうした細やかな配慮が、高齢者のデジタルへの一歩を後押しすると考えています。
デジタルと人のぬくもりの両立
スマートフォンが使えるようになることは、あくまで手段であって、目的ではありません。大切なのは、その先で家族や友人とつながり続けられること、必要な情報にアクセスできること、そして何より、本人が「自分もまだまだやれる」という自信を持てることだと思います。デジタル支援は、単なる技術指導ではなく、高齢者の尊厳を支える取り組みでもあるのです。
教室に通う高齢者の方々の中には、「孫とビデオ通話ができるようになって、生きがいが増えた」と話す方もいらっしゃると聞きます。技術の向こう側にある、こうした人の温かさこそが、デジタル活用支援の本当の価値だと感じています。
これから広げていきたいこと
デジタル活用支援を、単発の講習で終わらせず、地域の見守り活動や交流の場と組み合わせていくこと。それによって、操作を学ぶだけでなく、地域とのつながりも同時に深まっていく。そんな一石二鳥の仕組みを、これからも提案し続けていきたいと思います。
おわりに
デジタル活用支援は、単なる操作の習得ではなく、高齢者の暮らしの安心と生きがいを支える取り組みです。ご家族に高齢の方がいらっしゃれば、ぜひ一度、区の相談窓口についてお伝えいただければと思います。皆様からの体験談も、これからの活動の参考にさせていただきます。
相談してよかったという声を増やすために
スマホ相談を利用した方から「勇気を出して行ってよかった」という声を聞くたびに、こうした場の大切さを実感します。一方で、まだ一歩を踏み出せずにいる方も多くいらっしゃるはずです。地域包括支援センターや民生委員の方々とも連携しながら、必要な方に情報が届く経路を、もっと増やしていきたいと考えています。
まずは一歩を踏み出すこと
「今さら聞くのは恥ずかしい」と思う必要はまったくありません。分からないことがあれば、遠慮なくよろず相談の窓口に足を運んでみてください。その一歩が、暮らしの安心につながります。
安心して年を重ねられるまちへ
スマートフォンが使えるかどうかで、暮らしの安心感が大きく変わってしまう時代になりました。誰もが年齢を重ねても取り残されることなく、必要な情報や人とのつながりを保てる。そんな品川区を、これからも目指していきたいと思います。
いただいたご意見をお待ちしています
ご家族の中に、スマートフォンの使い方で悩んでいる高齢の方はいらっしゃいませんか。実際に体験された困りごとや、相談窓口を利用してみた感想など、皆様の声をぜひお聞かせください。今後の政策提言に活かしていきたいと思います。
技術は日々進化していきますが、それを使う人が一人も取り残されない社会を目指すことこそが、政治の役割だと思っています。これからも粘り強く、この課題に取り組んでいきます。
一人でも多くの高齢者が、安心してスマートフォンと付き合えるようになることを願っています。
一人の母として
「知らないから使えない」ではなく、「知っているから安心して使える」高齢者が増えるように。デジタルとの距離を、少しずつ縮めていくお手伝いができればと思います。実家の母にも、今度こそゆっくり写真の送り方を教えに行こうと思っています。
品川区民とつくる未来 代表 新井さとこ
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